2009年1月9日金曜日

インプラント

 一抱えもある透明な箱にぎっしりと入ったピンクと白の…。エビでもないし、化石のようにも見える。実は、高松市庵治町 の「歯ART美術館」に展示されている約5000個の入れ歯。訪問者の多くは歯科関係者だが、「ハッ」とするようなものが並び、一般の人の来訪も増えつつ ある。
 年間約100万個の義歯をつくる「和田精密歯研」(大阪)の和田弘毅会長が「歯科医療の先端を正しく見せたい」と平成17年にオープン。
 入れ歯は設計だけで約6万通りあるといわれ、3マイクロメートル(1ミリの1000分の3)の差で違和感を覚える微細な世界。香川県綾川町にある同社の義歯製造工場でも機械作業は全工程の2割程度で、造形や色彩といった繊細な部分は手作業が頼りという。
 そんな芸術ともいえる「技」の数々が分かるように、5000個の入れ歯のほかにも虫歯の詰め物やインプラントの製造過程を展示。美しい歯と顔のバランスを考えようと集めた各国の歯のついた面や、江戸時代のお歯黒施術セットのような珍しいコレクションも。