9日開かれた北朝鮮の国会にあたる第12期最高人民会議で、国防委員会の委員に「特別な存在」とされる金正日(キム・ジョンイル)総書記の義弟、張成沢(チャン・ソンテク)氏が初めて選ばれ、委員数も4人から倍増した。いずれも金総書記側近の実力者で、国防委は北朝鮮の動向を決める上でこれまで以上に中心的な役割を果たすとみられている。
韓国大統領府や統一省など政府当局者らが最高人民会議の分析を急ぐ中、見方が一致するのは、国防委の一層の権限強化と張氏の国防委員就任の重要性だ。
張氏は金総書記の実妹、金敬姫(キム・ギョンヒ)氏の夫。経済改革に強い関心を持つとされ、これまで失脚説が流れたかと思うと数年後には公式メディアに名前が登場し、復権が確認された。昨年夏ごろに金総書記の健康悪化説が流れた後も、内部でかなり重要な任務をこなしたのは間違いないと見られ、北朝鮮が経済再建を目指す12年の「強盛大国」づくりでの役割が期待されている。
このため一部には、張氏の国防委員への抜擢(ばってき)が「ポスト金正日」にも関係しているのではないかとの見方も出ている。だが韓国政府は「後継問題において張氏の影響力は限定的ではないか」(大統領府幹部)、「最高人民会議後も後継問題で変化もない。何も決まっていない」(統一省の分析担当者)と慎重な見方を示す。
加えて朱奎昌(チュ・ギュチャン)軍需工業部第1副部長の委員就任も注目される。朱氏は5日のミサイル発射に深く関与したとされ、金総書記が発射を見た際も同行した。北朝鮮にとり、軍需産業は外貨獲得の主要手段の一つで、統一省の分析者は「朱氏の委員会入りはミサイル輸出の強化を示唆しているのではないか」と話す。
一方、同省報道官は10日の記者会見で、「北は南北経済交流担当の国家機関、民族経済協力委員会を廃止したと推定される」と語った。関係が冷え込む韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権への圧迫をさらに強めた形だ。
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